遺言と遺書の違いとは?
遺言と遺書。一文字違いですが大きく違う点があります。勘違いしやすい遺言と遺書について,わかりやすく説明します。

遺言と遺書の違いってなんですか?

『遺言を作る』と聞くと『縁起でもない』などの否定的な反応をされる方が多いと思います。
また『遺言を書いてほしい』と言うと『俺を殺す気か(笑)』などと返されそうですね。
でもこれは、『遺言』と『遺書』を同じものと考えているために起こる反応です。
普段あまり気にしていない『遺言』と『遺書』。
ほとんどの方は区別していないのでは?
でも実は、法律上は大きく違う全くの別物なんです。


『遺書』ってなに?

まず『遺書』について。

 

遺書は、一般的には『死を間近に感じた人が残す手紙』と言われています。

 

死に際して、自分の気持ちや想いを家族や親しい人に残す、その時に書くのが『遺書』になります。
手紙ですから、書き方に決まりはなく、自由な形式で書き残すことができます。
そして何より『遺書』には法的な効果がありません
遺書の中に財産の分け方などが書いてあっても、遺産相続の法的根拠にはならないのです。

『遺言』ってなに?

次に『遺言』について。

 

遺言とは、『遺産分割や家族関係などに対して法的な効果を発生させる文書』になります。

 

法的な効果を発生させるために、遺言の書き方は民法で厳格なルールが法定されています。(民法第960条~)
遺言の書き方に沿わない書式で書いてしまうと、その法的な効果がなくなってしまいます。
また、

  • 遺言を作成した時に認知症などを発症していて『意思能力』がない場合
  • 遺言を書き残す人以外の意思が反映された場合
  • 遺言を書き残す人が15歳未満の場合

などの場合も、法的な効果が失われます。
一般的に、遺言には『自筆証書遺言』『公正証書遺言』『秘密証書遺言』の3種類あり、それぞれ特徴・メリット・デメリットがあります。
この中から、遺言を書き残す人のニーズに合った方式を選択します。